Vol.6 Cadillac PLACE ジビエという冬の誘惑 Vol.6 Cadillac PLACE ジビエという冬の誘惑

February 16, 2018

山岳ドライブを満喫し、標高1300mのテーブルに。

Vol.6 ジビエという冬の誘惑|Auberge Espoir

Text by

Taki Masashi

ジビエ集う蓼科郷土フランス料理

蓼科に至る中央自動車道は、東京・八王子から100km弱の韮崎ICあたりで視界が開け八ヶ岳連峰を正面に迎えることとなる。やがて道はさらに登り勾配となり、小淵沢ICと諏訪南ICの間で、標高1,015mの中央道最高点に。その先、諏訪ICで中央自動車道を降り、蓼科へ。北八ヶ岳に分け入る国道はビーナスラインやメルヘン街道の別名を持ち、軽井沢、那須と肩を並べるリゾートエリアを貫く、日本有数のドライブコースだ。

ジビエ(gibier:狩猟で得る天然の野生鳥獣の食肉。仏語)で名を馳せた『エスポワール』は、茅野市と佐久穂町を結ぶ全長38kmのメルヘン街道(国道299号線)に面していた。最寄りの中央道 諏訪ICからは17km弱で、道が空いていれば30分ほど。店の下に広いパーキングスペースがあるので、標高1,300mながら、クルマでアクセスしやすい。クルマを降りれば山の大気は引き締まり静かで、いかにもジビエへの期待が膨らむロケーションだ。

オーナーシェフ、藤木徳彦さんは日本ジビエ振興協会の理事長でもある。それゆえ狩猟解禁となる11月15日から翌年2月15日まで『エスポワール』には、ジビエ目当ての予約客が全国から訪れる。地元産の鴨や山鳩の美味からジビエに造詣を深めた藤木シェフの地元愛は強く、90歳を超えてお元気な近所の方に教えていただいたレシピのいくつかはメニューに生かされているし、自ら猟に同伴したり、食材を求め山に分け入ることもある。「ジビエは天然の恵みですから、同じものには二度と会えません。一期一会だから奥深く、面白い。だから多くのお客様を惹き付けるんだと思います」と藤木シェフ。その日のランチのメインでいただいた『甲州産山鳩のカイエット。ジャガイモのピュレ添え』(写真 下)も多くのファンを擁する一皿。カイエットの綴りはCailletteで、ミンチや野菜を網脂で包んで焼く仏南部の郷土料理を指す。

このカイエット、むせぶように味が濃く強い。中には網脂で鳩、猪、鹿の肉が封じ込まれており、猪は鹿児島産の皮付きで、その皮も煮込まれていた。ソースもフォンド ジビエで、味わいは幾重にもさざ波(というより、むしろ荒波)のように押し寄せる。まん中に立つのは山鳩の大腿骨で、最後には手にとって骨の周りの肉も味わっていただきたいので、とフィンガーボールも添えられた。藤木シェフが推すメインディッシュには『鳥取産月の輪熊のすきやき風 天然鴨のフォンとともに』(写真 下左)もあり、これも脂の清らかさと剛胆さを同時に味わえる逸品。聞けば岡山との県境近くの鳥取山中に柿のよくなる里があり、いい枝振りの柿の木に月の輪熊が登って座り込み、手当たり次第に柿を食べる。この熊を猟銃で撃てば、柿のおかげか大変な美味。しかし、柿の木の枝振り回復に三年を要するので、熊も三年に一度しか獲れない、とのこと。そこまで聞き思わずシェフの表情を見てしまったが……至って真顔だった……。そして、デザートにはオープン以来レシピを変えていないモンブラン(写真 下右)が。秋に獲れた栗のストックが尽きるまでのスペシャリテで、その深く濃い甘味もまた格別だ。

フロアの半分はサンルームとなっていて、屋内ながら季節の移ろいを実感。2階にはいずれも洋室、3室のゲストルームも用意されている。地下には2,500本余が横たわるワインセラーもあり、ジビエとともにワインを楽しむのなら部屋をとる、という手がある。『エスポワール』は、標高1,300mのロケーションながら通年営業しており、また駐車場が国道に面しているため、ジビエに脂がのる冬でも、訪ねやすい。野村支配人によれば、紅葉が終わり冬晴れが続いた後に雪が降ると、その純白であたりがパッと華やかになるという。それもまた、良さそうだ。

なぜか蓼科には縁があり30回以上行き来している。十年程前の記事には「そこは日本のアルペンリゾート。ローザンヌと言ったら言い過ぎかもしれないが、蓼科や車山高原にはシャモニーやクールマイユールのような趣きも」と書いた。今回改めて蓼科を、そして『エスポワール』を訪ね、日本の山岳リゾート、日本のジビエとして、オリジナリティを確立しつつあるような気がした。90歳超のご近所レシピや、鳥取月の輪熊、そしてジビエを前提とした猟の高度な洗練も、その証左だろう。

朝早くに都心を出て、美ヶ原や車山高原でのドライブを満喫後、立ち寄るのにも調度いいというロケーションも『エスポワール』の大きな魅力だ。大人にふさわしいラグジュアリーとモダンスポーツがほどよくブレンドされたCADILLAC CTSならば、満腹となった帰路もまた快適だった。山岳ドライブで得た確かな手応えとは裏腹、粛々としかし退屈に過ぎることもなく、帰り着く瞬間までたっぷりとドライブが楽しめた。

  • CADILLAC CTS Premium

    アメリカン ラグジュアリーの伝統を継承し、
    キャデラックの中核を担うミドルサイズ ラグジュアリー セダン。
    2.0ℓ DOHC インタークーラー ターボエンジン
    全輪駆動 / 8AT / 10エアバッグ 搭載
    全長×全幅×全高:4,970×1,840×1,465㎜。
    ¥7,450,000(税込)
    CADILLAC CTS
  • Auberge Espoir
    (オーベルジュ エスポワール)

    長野県茅野市北山蓼科中央高原
    tel.0266-67-4250
    12:00~14:00(L.O.)、18:00~20:00(L.O.)
    木曜定休(月1回水曜、3月第3,4週休業)
    ランチ 4,500円~、ディナー 6,500円~
    1泊朝食付1名 宿泊料 9,800円~
    オーベルジュ エスポワール
今回ご紹介した『エスポワール』、最寄りのキャデラック正規ディーラーは『キャデラック相模原』。『エスポワール』までは、首都圏中央連絡自動車道、中央自動車道経由で約160km、
所要時間は2時間20分です。

キャデラック相模原(ショールーム)

神奈川県相模原市中央区清新2-6-2
tel.042-786-0006
9:30~19:00 水曜定休